2014年3月アーカイブ

『はじめに』
 さて教師免許への挑戦もおわり、いよいよ2016年8月にひらかれる筈の琉球新報社主催 芸能コンクール最高賞への挑戦がはじまります。
 長いようで多分短い、2年ちょっとのこの挑戦の準備期間に、これだけはやっておきたい事があります。
 それは自分自身にとっての琉球古典音楽の音楽観の確立です。
 もちろん完璧な音楽観など、まだまだ古典音楽を学びだしたばかりの私には、望むべきもないのはわかっているつもりです。しかし新人賞、優秀賞とテクニックをばかりを磨いてきてきましたが、最高賞への挑戦は技術的な部分ばかりではなく、琉球古典音楽と何か?という自分なりの理解がなければならないような気がするのです。
そのためにこの準備期間をつかって自分なりの琉球古典音楽観みたいものをまとめみたいと思います。

『本論』
現在までに野村流について自分なりにわかっていることのポイントを幾つかあげてみます。

[その1] 湛水流と野村流の違い
野村流安冨祖流などの現代琉球古典音楽の元になった湛水流との比較を書き出してみます。
いつもてんてん公演で山内秀吉先生の講義を聴いてわかっていること。

A)演奏技術
 湛水流 手が細かく、技法も多彩
 野村流 拍子、空白が多く、それほど難しい技術はいらない。
B)声楽技術
 湛水流 声の出し方は直線的で難しい節回しなどはあまりない、弦と声は同時に発声することが多い。
 野村流 節回しが様々あり、細かな表現力が要求される。弦と声はずらして発声することが多い。
C)曲調
 湛水流 直線・開放的であり、自然な感じ
 野村流 婉曲・抑圧的であり、落ち着いた感じ。

全体ととして印象は湛水流の方が単に演奏技術など部分をみるとむしろ高度であり、一見すると野村流はその簡略版ではないかという考えが浮かぶ。
まあ単純にいうと豊穣の湛水流と静謐の野村流の対比のように見える。

[その2] 野村流工工四の構造からみえるもの。
・特徴1 工工四の升目における奇数と偶数の位置にそれぞれメインとサブの機能が割り当てられている。この位置に従い声楽や演奏は、その技術的性格が決められている。
・特徴2 拍子、つまり間が多く弦は残響音への細かい処理が大事。
・特徴3 声楽において、声の上げ下げにおける声質や息の使い方や節回しなど、肉体における非常に高度な制御技術が要求される。
・特徴4 演奏技術において、今は主流の考え方ではないが本来抜音(ぬじおと)などの高度な装飾音的演奏方法がある。

特徴1と4はそもそも湛水流からつらなる沖縄的美意識の構造。特徴2と3は邦楽的美意識による構造。野村流とはこの二つの美意識の緊密なる結合より出来ている。

[その3]三線の構造からみえる物
・野坂のくぼみは昔の爪が弦にあたる位置を示しているのでは無いか。その位置は三線のデザインを決めるほどながく続いたのではないか。
・安冨祖流の昔の工工四には爪を弾く位置は現在のチーガの下から3分2ほどの位置ではなく、チーガ棹の境目、つまり野坂を含む部分と書いてある。
・戦前のつめは長く、伊差川世瑞先生の爪などは10.5センチもあり、そのような爪で弾くと爪と弦あたる位置はやはりチーガの境目となります。
以上のことから本来の野村流などの古典音楽を弾く際の爪が弦に当たる場所はチーガの端です。
この演奏法の特徴は音が馬からはなれれば離れるほど高い音が消え、落ち着いた音がします。
そのかわり民謡などの速弾きは不向きです。

以前の論で開鐘についてのべて分かる通り、琉球王朝時代の三線の音は現在の代表的な音高4 Cより2つほど低い2のA#です。これは野村流のウフブシなど弾くと、ゆったりとして低い音が基調となっていることを表しています。そして爪の弾く位置もそれから推察される動作も、それを意味しています。
とにかく現代の三線の音と琉球王朝時代の開鐘の代表される三線の音はかなり違う音をだったはず。
[その4]その1からその3までを踏まえて、ここから妄想です。

・チャンプルー
琉球古典というわれるものは湛水流までの、それまで沖縄音楽中心に邦楽の要素を配するというかたちに対して野村流は基本的な構造に強弱理論と抜音に代表される沖縄的祝祭豊穣の演奏形態に拍子、つまり間を取り入れた日本の能に代表される武家芸能の要素を組み合わせて作られたもの。
その意味でチャンプルー文化のひとつの形である。

・生(性)と死・動と静・支配階級と非支配階級(庶民)・情と知
湛水流的世界観→沖縄の民謡に代表される生(性)を謳歌し、豊穣を最高の価値とする文化
能に代表されれる日本武家文化→日本の仏教を根底に戦う戦士としてつねに死を見据えていた武家芸能
これら2つの要素が結合したのが琉球古典音楽では無いのか。

・野村流を演奏するポイント
とにかく間をどう解釈して表現するか。これがこれから課題です。

[結論]
野村流とは工工四の升目に配された奇数・偶数の主・従関係に代表される琉球的美意識
と間という静謐の中に知を見る邦楽における武家的美意識が結合したものではないか。

[終わりに]
いろいろ書き連ねましだか、まだまだまとめきれないことが多々有ります。
世禮國男先生が声楽譜付き工工四をまとめるときに琉球的美意識である工工四の奇数・偶数の理論や抜音などの技術を抜け落としたのか。あの時代琉球的意識よりは日本的な臣民たる関係性を強要されたせいではなかったか。またある意味違う文化である琉球古典音楽に寄せられる琉球古典にたいする本土の方々の親和性の高さはこの当たりにあるのもかも。・・・・。などなど疑問が一杯有ります。
これらの2年間書きれなかったことも含めていろいろなことを検証して自分なりの琉球古典音楽観みたいなものを確立したいと思います。

祝!!合格です。

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野村流音楽協会教師免許審査、合格です。 
嬉しいです。わーい(嬉しい顔) 
さあ後は芸能コンクールの最高賞目指してレッツゴー。犬
会場は沖縄市農民研修センター、こちらの住まいは那覇市なので、かなりの距離がありますが、とりあえずバイクに三線つんで1時間半ほどかけて到着、私の順番は35番中の30番、ついた時には2時をすぎていましたが、まだ15人ほど、これは長くかかるとおもいましたが、結局出番は6時過ぎでした。 
会場はおもったより広く、舞台の前には十人以上の審査の先生がたがびっしり。 
これで上がらないわけはなく、案の定手が震えて止まりません。 
演奏のほうは課題曲の作田節と干瀬節、作田ですこし演奏のミスがありましたが、とりあえず通して引き終わりしました。 
結果は試験終了の23日のあとで発表とのこと。 
ドキドキしています。 
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『はじめに』 
三線の名器とよばれる開鐘(けいじょう)、もしくは開門とも伝えられます。 
その音の秘密を今回教師免許にいどむ練習の中で一つわかったようなきがするのでここに書き残したいと思います。 

それは「開鐘というのは古典三線音楽の演奏時間により生まれたのでないか」と言うものです。 

琉球古典、なかんずく野村流など古節(ウフブシ)の演奏時間は長く、最高賞の課題曲でもある中節などはフルで弾くと三十分ほどかかります。 
しかも実際弾いてみるとわかりますが、現代のロックなどの曲のテンポに比べると極端に遅い。発声はロングブレスで長くひっぱり、弾弦も一回弾いてから次に弾くまで間が有ります。 
しかも野村流の場合、声と弦はズラして演奏されれるという極端に特徴のある演奏方法となっています。 

『考察』 
今回思いついたこと、それは演奏時間についての悩みから始まりしました。 
教師免許に挑戦する課題曲は作田節と干瀬節の二曲、二揚げで短い干瀬節はともかく古典のウフブシの代表曲でもある作田節はフルで演奏するとだいたい10分55秒ほどかかります。 
師匠である金城先生からはこの演奏時間プラスマイナス10秒程度で納めなさいと言われています。 
最初は極端な話2、3分程度のズレは普通でした。 
何回も練習しているうちにようやく1分程度まで誤差は縮まりましたが、どうしてもただ弾いて、自分センスだけに頼っていたらそれ以上は縮まりません。 
練習の早いうちに三線を弾くテンポが大事だということはわかったのですが、それを演奏時間の制御とどう結びつけるのかいまいちわかったてませんでした。 
試験の日程が迫るなかいろいろ試行錯誤していてふと思ったのが、山内先生や金城先生が教室に通いはじめたころ口を酸っぱくして指導してくれたことのいくつか。 

1)三線の弦から指を離すタイミングが早い。 
三線の弦は開放弦以外、一旦抑えてから弾弦すると余韻として鳴り続ける。指を離すとそれが消える。 
2)三線の音を聞きなさい。 
三線の楽譜である工工四の記されているのは勘所であり、音の高さではない、よって弾いた音は自分の耳で判断しなさい。 
3)チンダミ(調弦)を正確に。※チンダミは相対音感のこと。自分の耳による音感の正確さ。 
相対音感は正確になった弦の音を判断でるように、演奏者の内部に音の基準ができたということ。 

この3つは三線演奏における初心者の心得として大事なものだと深く心に刻みつけたいものだと思います。 

ではこの3つを意識して三線の弦を弾いて、しっかり音の推移を聞いてみます。 
弦は最初弾いた直接音の後は、周りの弦やチーガーの皮や内部の反響音、棹の振動など様々な残響音をともないながら消えていきます。 
実際の作田節を引く場合は、これが古典特有のゆっくりしたテンポの連続した演奏なかで繰り返され行きます。 
そうすると三線の音をテンポの基準にする場合に必要なのは、この残響音の長さを耳できいて、あとは指を離すか押さえるかして、次の音に切り替えるタイミングを測ればいいのではないかと思ったのです。 
実際の演奏では、この三線の音に声が載せられていきます。この場合でももともと野村流の特徴である弦と声をずらす構成。このことを山内先生はせっかくの三線の音を声からずらして聞かせるためと、いつか言っていましたが、もしかしたら上記の技法の為というのもあるのではないかと思いました。 

実際音の残響音を確認しながら演奏すると演奏時間の正確さはかなり上がりました。 
そしてなにより三線の音に集中し、それに絡めるように声を発声していくこのスタイルは気持ちが良いし、美しいのです。 

『結論』 
開鐘を定義する一番の特徴、音の余韻。これは琉球古典の長い曲を演奏するテンボを三線の残響音により確認するためではないのか。 
開鐘は美的というよりは、琉球古典を演奏する楽器として必要な性能の一つとして要求されたものである。 
琉球王朝が5開鐘を定めたのもむべなるかな。 

『蛇足』 
開鐘(けいじょう)、もしく開門とよばれる漢字ですが、両方に共通している開くという漢字。 
これが先ほどのべた抑えた弦を離すこと。つまり指を手を開くという意味ではないのか。 
ふと思いつきました。 

『あとがき』 

琉球王朝時代に盛島開鐘の他、5つの名器が王朝により認定されています。 
開鐘の音の特徴は、伝説によれば深夜に鐘が響くような余韻が特徴とされています。 
本当の所、その音がどのようなものか、とくに音の余韻の主体であるチーガー(胴)の製作技術や糸の違い、当時主流だった音質の好みなど、往古の開鐘の音がどようなものだったのか、現在論争のあるところだと思います。 
私自身も三線弾きでも製作者である立場から、三線音楽における「良い音」、なかんずく開鐘の意味する音とはなにかとずっと頭を悩ましてきました。 
今回そのヒントとも思える出来ごとがあったので自分の備忘録としてここに記します。
3月9日、教師試験のむけての野村流音楽協会那覇支部主催の予行練習会に参加しました。 
場所は南風原にある環境の杜、午後1時からですが、夜勤明けでぎりぎりまで寝て出発。到着は2時、もう会場では練習で受験者は舞台で演奏しています。 
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観客もいて審査する先生もいて、本番さながらの雰囲気です。 
練習の登録申請をして順番まで外でひと鎖作田節・干瀬節をうたい、ふたたび会場に入ると。 
すぐに順番が来ていました。 
危ない、危ない。 
慌てて舞台に上がります。 
まずは三線は爪のもつ手が逆と指定されます。 
そう三線は右手、爪は左手です。 
舞台でまずは作田節から、おもったより緊張して指も声も震えます。 
引く音が定まりません。 
声はまあまあ、しかしようやくちり返しまできて、あと一息というところで安心したのか。バシッをいう大きな音が三線からしました。 
冷や汗で三線をみる、そう駒が倒れてました。 
苦笑いを浮かべて駒を立て直し、後半ちり返しをうたい、次の干瀬節はぶじ終了です。 
審査していただいた先生からは、駒だおれに関して、自作の爪の持ち方について注意を頂きました。 
あとで講評をみるとやはりボロボロでした。 
家にかえり、倒れた駒のかわりに、倒れにくい駒を改造して製作、音は変わりますが、試験は安全第一ですからね。 
本番で倒れたら即アウトです。 
あと爪の持ち方についてはいろいろその後工夫しました。 
そしてある程度なっとくするものができたと思います。 
よく試験をうけることは、三線を弾くことの目的でないと言われることもあります。確かにそうとおりですが、やはり日頃の自分のやっていることを見直すという意味では良い機会だと思います。 
試験まであとすこし、最後の仕上げに頑張ります。 
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エウレカ!

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今日、いやもう昨日になったてんんて金曜公演の内容。 
いつもの世禮國男先生の楽典解釈の講義において、古典の特徴と民謡の違いについての一言。 
「古典のもつ奇数、偶数の強弱関係の構造こそ、それを持たない民謡との違い」・・・うおおおおっー、この一言をもてめて何年という感じです。 
そうです、この一言のなかに琉球古典野村流音楽の真髄が隠されています。 
山内先生に感謝。てんてん金曜公演に感謝です。犬

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